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ダイバーズウォッチの世界を調べてみた②
2022年08月12日

前回までのあらすじ。
1926年に世界で初めての防水性能を備えた腕時計がロレックスから発表された。その性能は過酷な遠泳で有名なドーバー海峡横断に使用しても動き続けた。そこからブランド各社から防水性能を備えた時計の開発が始まった。
オメガからはマリーン、そして今でも新作が発表されている初代シーマスター。パネライは市販化はされていないが、イタリアの特殊潜水部隊が使用するための防水時計を依頼されたことでラジオミールを製作。初のプロフェッショナルダイバーズウォッチの誕生だった。

そして1953年、ブランパンより世界初のダイバーズウォッチであるフィフティ ファゾムスが市販化された。同年にはロレックスよりサブマリーナも登場しており、初のダイバーズウォッチに時計業界は大いに変化した年となった。

以上が前回までの大まかなあらすじです。
防水性能が一般化され始めた20世紀半ばの時計業界ですが、ここからさらに防水時計は進化していきます。

それでは、続きをどうぞご覧ください。


④ダイバーズウォッチのその後の展開

ダイバーズウォッチがこの世に登場し、最初に注目を浴びたのはスクリーンの中に登場したことからでした。
フィフティ ファゾムスはカンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールを受賞した深海ドキュメンタリー映画である「沈黙の世界」の中で使用されました。
サブマリーナも同様に、世界中にファンを持つ長年新作が公開されているスパイアクション映画の「007」の主人公、ジェームズボンドが使用したことで脚光を浴び、ダイバーズウォッチの知名度を更に高めるきっかけになりました。
これらは広告やキャンペーンといった意図的なものではなく、映画の登場人物が着けていたということから、カッコいい時計というイメージが人々の間に流れていきました。

ダイバーズウォッチの人気に加速がつくと、様々な時計ブランドからダイバーズウォッチのモデルが登場しました。1939年に防水性能に特化したマリーンを発表していたオメガからは、いまだに根強い人気を持つシーマスター300が登場。すでに登場していたダイバーズウォッチと同じように、回転ベゼルと視認性の高いダイヤルをデザインに導入し、ムーブメントも自動巻きを搭載。
オメガのシーマスター300は後の2014年にリバイバルして再登場。アニバーサリーモデルや上記にもあるスパイアクション映画の「007」で初めて使われたモデルが再販されるなど、展開している作品も多い。オメガを代表するスピードマスターと双璧をなすメインモデルと言えます。

同じくブライトリングからもスーパーオーシャンが同年1957年にシーマスター300と同じスペックで登場し、オメガ同様に200m防水を搭載しています。
スーパーオーシャンは防水性能をそのままに、クロノグラフを搭載したモデルを1964年に発表しています。分刻みで潜水時間を計り、一時間で一周するシステムは当時では非常にユニークな機構でした。しかし、その後に起きたクォーツショックと経営権がブライトリングから別の人物に移った頃よりスーパーオーシャンはラインナップから消えてしまい、しばらくの間は表舞台から姿を消していました。
1995年、満を持してスーパーオーシャンが復活。コルト・コレクションとして復活したスーパーオーシャンは、1000m防水のダイバーズウォッチという衝撃的なスペックで復活し、1998年にはさらに上の1500m防水を実現。2000年にはスーパーオーシャンとして独立したコレクションとなり、遂には2000m防水を発表。
これにより、スーパーオーシャンはダイバーズウォッチとして華麗な復活を遂げることとなりました。

日本の時計ブランドも、ダイバーズウォッチを発表しています。今ではアメリカを中心に絶大な人気を持つ日本産ブランドであるセイコー。クォーツショックの元となったアストロンが1969年に発売されていましたが、ダイバーズウォッチはそれよりも前の1965年に発表されていました。
国産初のダイバーズウォッチは、150m防水性能付きのメカニカルな自動巻きムーブメントを搭載。セイコーはこの時計を南極地域観測隊に属する南極越冬隊に装備品の1つとして寄贈しています。この越冬隊は1年間にわたって南極観察をする隊だそうです。セイコーはこうした極寒の地のような過酷な環境下に身を置く冒険家や探検家に使用されたことで、その性能を証明していきました。
1969年には300m防水を実現し、その後の1975年には世界初のチタン製のケースを採用した600m防水のダイバーズウォッチを発表。この時計には外装だけで20件もの特許を取得しているそうです。1978年にはセイコーが世界に広めたクォール式時計で600m防水のダイバーズウォッチも発表しており、クォーツ式時計だけでなくダイバーズウォッチの分野でもセイコーは多くの成績を残しています。

時計ブランド全体がダイバーズウォッチに積極的な参入を続ける中、やはり一番目につくのはロレックスではないでしょうか?サブマリーナから始まったロレックスのダイバーズウォッチシリーズですが、販売初期には様々な通説が残っています。
有名なところですと、初代サブマリーナは1954年に世界最大の宝飾・時計の見本市であるバーゼルフェアにて【型番:6204】として発表されました。ですが、前年の1953年に【型番:6200】というものも製造・販売がされており、2つのサブマリーナが存在していたという説があります。防水性能も共に100m防水とされておりますが、一説によると【型番:6200】は200m防水だったとも言われているそうです。
セカンドモデルである【型番:6205】が翌年に発表されましたが、見た目のデザインなどは特に変化がないことや、1950年代に複数のサブマリーナが存在したことから上記のような様々な説が唱えられているそうです。


⑤進化したダイバーズウォッチ。ロレックス、シードゥエラー

ロレックスは初代サブマリーナの販売後、1~2年周期で新たな改良や新作ムーブメントを搭載したサブマリーナを発表し続けていました。そんな中、とある報告が持ち上がりました。それは、とある会社が水中作業を終えて浮上したところ、サブマリーナの風防が吹き飛んだという報告でした。

その会社というのが、世界初の潜水作業を専門とした会社であるコメックスという会社でした。コメックスは海洋調査や水中作業を主な業務として請け負っており、海中油田といった深海が従業員ダイバーの現場となります。
1964年に当時のダイバーが使用していたサブマリーナがヘリウムガスの内部膨張のより、風防を吹き飛ばすという事故が起きてしまったため、ロレックスはその報告を受けて時計内部に残ったヘリウムガスを排出する機構の開発を始めました。

開発にはコメックスの協力も得ることが出来たため、共同開発が実現。1967年にヘリウムガスを排出する特殊機構であるヘリウムガスエスケープバルブを搭載したダイバーズウォッチ、シードゥエラーが【型番:1665】として発表されました。
防水性能は当時サブマリーナに搭載されていた200m防水の3倍以上となる610m防水を搭載。また、ヘリウムガスエスケープバルブはロレックスが特許を取得したため、裏蓋にそれを示すトレードマークが刻印されていました。
現在のロレックスでは、デイト機能が搭載されている場合はサイクロプスレンズという、デイト表示を拡大して視認できるようになっていますが、当時はデイト表示があってもサイクロプスレンズではありませんでした。

1978年には後継機となるセカンドモデルの【型番:16660】が登場。初代シードゥエラーは610m防水だったことに対し、セカンドモデルは何と2倍の1220m防水。このスペックは、当時の時計業界に大きな話題を呼びました。この頃にはベゼルもロック式ではなく逆回転防止ベゼルが搭載されるようになり、機能面も向上。風防も強化プラスチックからサファイアクリスタルに変更され、傷や破損に強い素材が選ばれるようになりました。
こちらの後継機である【型番:16600】も1990年に発表されており、こちらはムーブメントの変更とブレスレットに誤作動を防ぐロックが搭載されましたが、デザインはほぼ前作と変わらない見た目だったため、その後の長い販売期間の中で何度かマイナーチェンジが施されており、年代によって若干の違いを見ることが出来ます。

シードゥエラーはその性能とデザインから多くの支持を受けていました。サブマリーナから続くダイバーズウォッチとしての知名度に併せ、デイトナという誰しもが憧れるコスモグラフの名機がこの頃にはすでに登場していました。世界中でロレックスの人気が高まっていたところで、ロレックスは更なるダイバーズウォッチを発表致しました。
その名も、シードゥエラー・ディープシー【型番:116660】。このモデルは通常のシードゥエラーの上位互換バージョンとして2008年に登場しました。防水性能は驚異の3900mという数値が特徴であり、また当時の時計業界ではデカ厚ブームというものが起きており、ディープシーもそれに漏れないサイズ感でした。44mmというケースサイズにケース厚が18.1mmという厚さ、これはシードゥエラーが15mmほどだったため、かなりの存在感を我々に感じさせました。
また、このディープシーが発表されたことに伴い、シードゥエラーの製造が終了となり一時期その姿を見なくなっておりました。しかし6年後の2014年、ベゼルに1分刻みのメモリを搭載したシードゥエラー【型番:116600】が再登場。その後も誕生50周年を機に現在でも店頭に並んでいる【型番:126600】が発表され、そのモデルにはシードゥエラー初となるサイクロプスレンズが搭載されています。

今年の新モデル発表の際にも、ディープシーの新たなモデルである【型番:136660】が発表されました。見た目やスペックに大きな変化はなく、各所のディテールやベルトの機能面で変化が起きています。
ロレックスのダイバーズウォッチでいうと、2020年にサブマリーナが大きく変化したこともあり、しばらくはマイナーチェンジや大きなモデルチェンジは起きないのではないでしょうか?どういった戦略で新モデル発表を考えているかはロレックスのみぞ知ることではありますが、近々でこのような状況にあるため、しばらくは落ち着くのではないかと私は思います。


⑥主なダイバーズウォッチの紹介

さて、ここまででダイバーズウォッチの簡単な歴史や仕組みをご紹介させていただきました。
ダイバーズウォッチは現在の時計業界ではなくてはならないジャンルの1つであり、各ブランドも注目する人気モデルです。そんな数あるダイバーズウォッチの中から、何点かオススメをご紹介させていただきます。

1.ロレックス サブマリーナ

不動の一位はやはりこちらかと思います。ダイバーズウォッチの代表格にして、ブランパンと双璧をなすダイバーズウォッチの始まりとなったモデルです。
ロレックスは格式や歴史で言うと中位くらいであり、時計としての知名度や資産価値としての高さが目立ちます。時計で高級品と言えば?という問いかけに対して、恐らく時計に詳しくない方でもロレックスという回答を出すでしょう。
だからこそ、ロレックスのサブマリーナは今後も注目され続けるメインに当たる時計と言えるでしょう。私としては、ダイバーズウォッチとして水が関係するモデルなので、青い色を取り入れたカラーリングを展開してほしいと思ってます。サブマリーナの青文字盤は存在してはいますが、K18ホワイトゴールド無垢モデルでしか存在せず、また希少性も高いため値段もかなりのランクとなります。ロレックスが展開する青系の文字盤は過去現在どれも絶妙に美しい色合いをしているため、どうしても期待してしまいます。

2.ブランパン フィフティ ファゾムス

ロレックスと共にダイバーズウォッチというジャンルを確立させたモデルです。クォーツショックによる業績不振で1970年代において多くの機械式時計ブランドが休眠状態を余儀なくされてしまい、ブランパンもその中の1つでした。
ブランパンの歴史は時計業界トップであり、現存しているブランドでは世界最古と言われています。これには様々な言われがあり、上記にあります休眠状態があったため、一度も絶えずに続いた世界最古のブランドはヴァシュロン・コンスタンタンとなりますが、創業して現在まで残っている世界最古のブランドはブランパンとなります。どちらも歴史あるブランドの為、優劣をつけるのではなく愛されるべきブランドであることを理解するのが大事かと思います。
フィフティ ファゾムスは現在でも生産がされているブランパンを代表する時計です。モダンでスタイリッシュな時計は流行り廃りではない存在感と、時計に詳しい人からは良い物を選んでいるという高評価を得られるまさに時計好きが唸るブランドです。

3.パネライ ルミノール マリーナ

デカ厚ブームの火付け役にもなったパネライ。元々はイタリア軍の潜水部隊が使用する軍事用時計を製造するブランドでしたが、1990年代に入ってから一般向けに販売を開始しました。
面白いことに、パネライ一族はその昔にスイス時計店という時計の代理店を経営しており、ロレックスの代理販売を行っていました。その縁により、ロレックスより防水ケースやムーブメントのノウハウを頂いておりました。それにより軍事用時計の開発が行えたことが、今日まで続くパネライの時計製造の歴史と言えるでしょう。
パネライのルミノール マリーナは定番中の定番であり、文句なしの一番人気モデルです。パネライ独自の存在感のあるリューズガードや無骨な中にも奥ゆかしいデザインが評価されており、海外では筋骨隆々な誰しもが知るハリウッドのアクション俳優が、日本ではアスリートはもちろんタレントやアイドルの方にも多数の愛用者がいることでも有名です。

4.オメガ シーマスター プラネットオーシャン

オメガのシーマスターは今やスピードマスターと並ぶツートップモデルです。その中で、シーマスター上位モデルとして登場したのが、こちらのプラネットオーシャンシリーズです。
登場自体は2005年と比較的最近であり、従来のシーマスターシリーズは300m防水でしたが、プラネットオーシャンは倍の600m防水を発売当初から掲げておりました。シーマスターが掲げていた海をイメージしたブルーのデザインに対してオレンジが使われたことでも話題になりました。
現在ではブルーを主体としたものも多い中、グリーンやホワイト、オールブラックといったカラーリングも存在し、またダウンサイジングされたモデルも登場しており、大きすぎないサイズとデザインからカジュアルな着こなしにも対応しています。価格と性能に対するコストパフォーマンスの高さから根強い支持を受け続ける名機中の名機と言えるでしょう。

5.タグホイヤー アクアレーサー

高い技術力を保有しながら低価格帯モデルを展開しているタグホイヤー。実用性の高さから初めて高級時計を買うならタグホイヤーをおススメする方も多くいらっしゃる入門的な立ち位置にいるブランドです。
アクアレーサーはタグホイヤーで唯一のダイバーズウォッチモデルです。また、開発やデザインの面でプロのダイバーが手掛けていることからプロの間でも圧倒的な信頼を得ているまさにプロスペックモデルと言えます。
アクアレーサーの登場も2000年代と比較的最近ですが、タグホイヤーはその長い歴史の中で懐中時計時代には専用の防水ケースを発明し特許も持っています。防水性の技術においてもタグホイヤーは確かな実績を持っているブランドです。
ダイバーズウォッチとしてはデザイン性の高い洗練されたモデルが多く、41mmや43mmの他にもレディース向けの35mmというモデルもあり、大きすぎない特徴があります。また、最近では高い防水性と共にGMT機能を搭載したアクアレーサーやクロノグラフ、クォーツモデルも存在します。

6.カルティエ カリブル ドゥ カルティエ

【王の宝石商 宝石商の王】という異名を持つ世界一のジュエリーブランドと言っても差し支えないブランド、カルティエ。
ジュエリーブランドではありますが、時計の分野でも技術力が高いブランドとしても有名です。こちらのカリブル ドゥ カルティエは2010年に登場した初のメンズ専用のコレクションと言われており、ADLCコーティングがされた素材は精度も高く丈夫で軽いという特徴があります。今まで製造されてきたカルティエの時計は上品でラグジュアリーな様相をしていましたが、スポーティーな時計の登場はカルティエのイメージを変えたともいわれております。
残念ながらこちらのモデルは現在、すでに廃盤となっているため新品での購入は不可能となってしまっております。


⑦総括

いかがでしたでしょうか?
普段何気なく見ていたり聞いていたダイバーズウォッチという存在。今回はそんな海のように深い歴史のほんのわずかですがご紹介させていただきました。
ダイバーズウォッチとは時の戦争で活躍した軍事用であったり、未開の地を行く探検家や従業員のための物だったりと、全てにおいて過酷な環境下でも動作することを想定して作られたプロフェッショナルモデルです。それ故に耐久性を重視したデザインが多かったですが、現在では様々な場面で使用できるような実用性豊かなモデルが増えております。

用途に限らず好きな時計を好きな時に着けるということは、今や多くの方が憧れていることかと思います。
私も欲しい時計がたくさんありますので、いつか身に着けて生活をしてみたいと願っております。
皆様にも素敵な時計ライフをお送りいただきたいので、欲しい時計や興味のあるブランドが出てきましたら、是非ともお近くの店舗にご相談ください。

皆様に合った最高のお時計をご用意してお待ちいたしております。

投稿者プロフィール

小山 亮介
OKURA事業部、販促企画担当。
大学卒業後、接客業を経てOKURAへ入社。
youtuberの時計企画で時計の魅力に染まり、店舗在籍時は時計担当に従事。
好きなブランドはウブロ、ヴァシュロン・コンスタンタン、ランゲ&ゾーネ、ロレックス
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