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着物の素材として有名なのが正絹です。では、高級素材でもある正絹は絹(シルク)とどのような違いがあるのでしょうか。また近年は技術の進歩により、正絹と見分けがつきにくい素材を使用した着物も増えています。
この記事では着物の素材としてよく使われている正絹について、特徴や他の素材との違い、保管時の注意点などをご紹介します。また素材の見分け方に関しても解説するため、ぜひ参考にしてください。
正絹とはどういった素材?
生地の種類の一つである正絹は、着物の素材としてよく使われています。ここでは正絹の概要や特徴などをご紹介します。
正絹の概要
正絹とは素材の100%が絹の生地のことです。縦糸横糸の両方が蚕の繭を材料としている絹糸によって織られており、他の素材は全く加えられていません。そのため正絹には絹の特徴がよく表れています。
なお絹糸は蚕を育てて繭を収穫し、煮て柔らかくしてから糸を撚るといった複数の工程を経て作られます。絹糸から正絹を作るには、さらに糸を人の手や機械で織って生地に仕上げる作業が必要です。
多くの時間と手間をかけて作られることも、正絹が高級品として扱われている理由の一つといえるでしょう。
正絹が使われている着物とは
正絹は振袖、留袖といったフォーマルな着物だけでなく、カジュアルな着物や長襦袢などにも使われています。着物の素材といえば正絹というイメージを持っている人もいるでしょう。
正絹でできた着物の特徴としては、柔らかく保湿性に優れていること、独特の光沢があることなどが挙げられます。また通気性も優れていることから、どの季節でも快適に着用可能です。さらに、肌触りがよいこと、生地が美しいため高級感があることなども正絹の特徴といえます。
一方で、手洗いができないことや、日光・湿気に弱いため保管が大変なことなどが正絹のデメリットです。普段着のように着る着物には不向きな素材といえるでしょう。
正絹の着物の見分け方とは
着物に使われる素材には、正絹以外にもさまざまな種類があります。中でも人工素材のポリエステルやウールなどは、正絹と見分けがつかないこともあります。正絹かどうかの判断に迷う際は、以下でご紹介する見分け方を参考にしてみてください。
1:生地の光沢を確認する
絹糸だけで作られている正絹は、美しい光沢を持つ点が特徴です。生地を実際に見て光沢があれば、正絹の可能性が高いでしょう。
ただし、ポリエステルの生地にも一定の光沢がある点には注意が必要です。生地の光沢のみで判断できない場合は、他の見分け方も試しましょう。
2:生地の仕立てを確認する
生地の仕立てを確認することも正絹かどうかの見分け方の一つです。ポリエステルの着物はミシン仕立ての物が多いのに対して、正絹の着物は手縫いの物が多いです。
ミシン仕立てか手縫いかを見分けるポイントとして、縫い目を確認することが挙げられます。ミシン縫は表に縫い目が出ていますが、手縫いの縫い目は表に出ません。
3:生地を触って確認する
正絹の特徴である手触りのよさを実際に触ってみて確かめる方法もあります。生地に触れた際になめらかな感触があれば、正絹である可能性が高いです。
なおポリエステルは熱伝導率が悪いことを利用して、手で挟んだ際に熱が伝わりやすいかどうかを確認するのも方法の一つといえるでしょう。
また正絹には生地をこすり合わせた際「キュッ」という音が鳴るという特徴があります。一方で、ポリエステルの生地はこすり合わせても特に音はしません。試す際は生地を傷めないよう、力を抑えて行いましょう。
4:生地を燃やして確認する
生地を燃やすことでも素材を見分けられます。着物を傷めないよう、反物の場合は引っ張り出した糸、着物の場合は切れ端などを燃やすとよいでしょう。
素材によって燃えカスや臭いが異なります。正絹は黒く燃えた後灰になり、髪の毛を燃やしたような臭いがする一方で、ポリエステルは燃えた後に固まったような状態になります。
なおウールの燃えカスに関しては正絹と似ていますが、臭いがきつい傾向にあることで見分けられるでしょう。
正絹以外に使われる素材とそれぞれの特徴
ポリエステルやウール、木綿などにはそれぞれにメリット・デメリットがあります。着物の用途によっては、正絹以外の素材の方が適している可能性もあるでしょう。ここでは正絹以外の素材とその特徴をご紹介します。
ポリエステルが使われている着物
ポリエステルとは石油から作られる化学繊維のことです。光沢があること、安価に製造できることなどが特徴として挙げられます。長襦袢などの下着類から、訪問着や付下げのような外出着まで幅広く使われています。
ポリエステルのメリットは、乾きやすく丈夫でかつ保管しやすいことです。水洗い可能な物も多いため、扱いやすい素材といえます。一方で、着崩れしやすいことや毛玉ができやすいことなどがデメリットです。
ウールが使われている着物
羊毛から作られた糸を使用したウールは生地が厚いため、特に冬用の着物に用いられることが多い素材です。落ち着いた色合いの物が多く汎用性が高いという特徴があります。
生地が丈夫で水洗いできることから、手入れがしやすいです。また正絹よりも低価格帯の商品が多いこともメリットの一つといえるでしょう。
一方で、虫に食われやすい素材であることはデメリットといえます。またチクチクとした手触りであることも、人によっては気になる部分かもしれません。
木綿が使われている着物
洋服にもよく使われている木綿は、綿の実から作られる天然繊維です。価格帯が幅広く、浴衣であれば数千円で入手できる物もあります。
メリットは、吸湿性・通気性に優れていることです。自宅で洗濯できる物も多いことから、夏に着る着物や浴衣に適した素材といえます。
ただし、シワができやすい素材である点はデメリットといえるでしょう。またカジュアルな雰囲気を持つ素材のため、振袖や留袖のようなフォーマルな場面に着る着物としては適していません。
麻が使われている着物
麻・苧麻・亜麻から作られる天然繊維をまとめて麻と呼びます。古くから日本の着物の素材として使われてきた歴史ある素材です。品質による違いが大きく、庶民が着る着物にも使われる一方で、上質な物は朝廷や幕府への献上品とされていました。
麻のメリットとしては水洗いできることや、吸水性・通気性がよいため扱いやすいことなどが挙げられます。また着心地がサラッとしている点もメリットの一つです。一方で、木綿と同様、シワができやすいことはデメリットといえます。
正絹の着物を保管する際のポイント
天然素材である正絹は湿気に弱いことから、管理が難しいという側面があります。正絹の着物を保管する際には、以下のポイントに注意しましょう。
- 湿気と日光に弱いため、脱いだ後は直射日光を避けてかつ風通しのよい場所に置く
- シミになるのを防ぐために汚れは放置せず、すぐに落とす
- 保管する際は畳んで、たとう紙や専用の袋などに入れる
- 年に数回はタンスや押し入れなどから出してハンガーにかける
カビや虫食いの原因になる湿気は、正絹の着物の大敵です。着用した着物は汚れを落とした上で陰干しして、水分を飛ばしましょう。なお色抜けすることがあるため、直射日光が当たらない場所を選ぶことも大切です。
また保管の際は、たとう紙や専用の袋に入れて湿気から守りましょう。定期的に取り出してハンガーにかける虫干しも必要です。
まとめ
絹糸のみで作られる正絹は、着物の代表的な素材です。振袖や留袖などの格式高い着物を含む、さまざまな種類の着物に使用されています。美しい光沢やなめらかな手触りが他の素材と見分けるポイントです。
なお着物買取専門店のおお蔵では、正絹だけでなくさまざまな生地の着物の買取に対応しています。正絹をはじめとする着物の素材は繊細なため、管理に手間がかかります。着る機会がない着物を買取してもらうことで、管理の手間を削減できるでしょう。査定料は無料でかつLINE査定にも対応しているため、お気軽にご相談ください。
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