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加賀友禅の代表的な作家の一人が、由水十久です。日本画を学んだ後に作家となった人物で、加賀友禅には珍しい人物モチーフや構図の美しさにこだわった作品などで知られています。生前は海外で個展を開いた実績もある、世界的に有名な着物作家です。
この記事では着物作家の由水十久について、経歴や着物の特徴などをご紹介します。また有名作家による着物をできる限り高い価格で買取してもらうためのコツも併せてご紹介するため、ぜひ最後までご覧ください。
由水十久とはどのような人物?加賀友禅との関わりについて
由水十久とは、加賀友禅の巨匠として知られている着物作家です。ここでは初代由水十久と加賀友禅の関わりや、二代目由水十久などについて詳しくご紹介します。
由水十久は代表的な加賀友禅作家
由水十久(初代由水十久)は、加賀友禅作家として世界的に有名な人物です。幼い頃から日本画を学び14歳頃から京都に移り、友禅作家に師事しました。
10年程度学んだ後、25歳で独立して加賀友禅作家としての活躍を始めます。加賀友禅の伝統的な技法を用いつつ、絵画のように描かれた独特の文様は高く評価されて人気を集めるようになりました。
故郷の金沢に戻ってからも精力的に活動を続けていた由水十久は、世界からも注目されるようになっていきます。日本国内のみならず、ヨーロッパやアメリカでも個展を開くほどです。
ユニセフのグリーティングカードのデザインとして、由水十久の作品の一部が使用されたことからも、由水十久が世界的に評価されていたことが分かるでしょう。
国から「伝統工芸士」、石川県からは県の「指定無形文化財 加賀友禅技術保持者」に認定されています。以下で由水十久の簡単な経歴をご紹介します。
- 1913年:石川県金沢市で生まれる
- 1927年~:京都で紺谷静焦に10年以上師事し、25歳で独立
- 1947年:故郷の金沢市に戻り、伝統工芸を重んじつつ絵画風の実写的な文様制作を行う
- 1966年頃:日本各地で個展を開催する
- 1975年:「加賀友禅 由水十久 写真集」を出版する
- 1977年:伝統工芸士に認定される
- 1978年:石川県の指定無形文化財 加賀友禅技術保持者に認定される
- 1982年:イギリス・西ドイツ・アメリカで個展を開催
- 1984年:ユニセフ・グリーティングカードのデザインに、出版した染絵集「うなゐ」の作品が採用される
- 1988年:逝去
二代目由水十久の登場
由水十久の死後、息子2人が遺志を引き継ぎ加賀友禅作家として活動しています。なお多摩美術大学で日本画を学んだ次男の充は、父親の名を襲名し「二代目由水十久」として知られています。
二代目由水十久は、1996年に伝統工芸士に認定されました。海外で活躍した初代と同様、2017年にはニューヨークで個展を開いた実績もあります。長男である煌人も「由水煌人」として加賀友禅の作品を発表し続けています。
由水十久の着物の特徴とは
加賀友禅の巨匠とも呼ばれる由水十久の作品は、ほかの作家の作品とどういった点で異なるのでしょうか。ここでは由水十久の着物の特徴について解説します。
子どもをモチーフにしている
由水十久の作品は、人物をモチーフにした物が多いことで知られています。加賀友禅は伝統的に、季節の草花や鳥などの自然を描いた物が主流です。一方で、高い技術が必要で描写が難しいとされる人物画をモチーフとすることはあまりありません。
加賀五彩と呼ばれる加賀友禅の技法を用いつつ人物を写実的に描いたことは、ほかの加賀友禅の作家と大きく異なる点です。
特に好んで描いたのが「唐子」と呼ばれる、中国風の髪型をした小さい子どもをモチーフとした絵です。唐子には子孫繁栄の思いが込められているといわれています。
細かいこだわりのもと作られている
細かいこだわりのもとで作られていることも、由水十久の着物の特徴といえます。唐子の場合は生き生きとした様子を表現するために、衣服から髪の毛一本一本に至るまで細かな筆致で丹念に描かれています。
一つの作品を完成させるまでに、弟子に数百回ものポーズをとらせたという逸話からも丁寧に作られていることが分かるでしょう。
なお着用時を想定して仕上げられていることも、由水十久のこだわりの一つです。360度どこからでもきれいに見えるよう、弟子や人形に着物を着せてから柄を描いていたといわれています。
落款が付いている
「落款」とは、着物作家が作品に残すサインのような物のことです。由水十久の作品には基本的に落款が付いています。同じ物を使う作家は存在しないことから、落款を見ることで着物の製作者・年代などを特定可能です。
由水十久の落款の特徴は、細長い長方形の中に「十」「久」が書かれている点です。対して、二代目由水十久の落款は六角形の中に「十」「久」が書かれています。
いずれも名前の「十久」をモチーフとしていますが、落款の形が異なるため、比較的簡単に見分けられるでしょう。
有名作家の着物を高額で買取してもらうコツ
着物を買取してもらう際は、いくつかのポイントを押さえることで査定額が変わる可能性があります。ここでは由水十久を含む、有名作家の着物を高額で買取してもらうコツについてご紹介します。
1:きれいな状態を保つ
着物はきれいな状態の方が、買取価格が高くなる傾向にあります。きれいな状態を保つためにも、着ない場合は着物を保護する「たとう紙」と呼ばれる和紙で包んで保管しましょう。また高温多湿を避けて保管することも大切です。
なお着物をタンスや棚の中に入れっぱなしにしていると、湿気がこもります。湿気は生地が傷んだりカビが生えたりする原因となるため、年に2回程度はハンガーにかけて陰干しを行いましょう。
2:落款を確認する
由水十久を始めとして、有名作家の着物には落款が押されていることが多いです。落款とは前述したように、製作者を表すサインのような物のことを指します。本物かどうかや製作者が誰かなどを見分ける際に役立つ物です。
初代由水十久・二代目由水十久は異なるデザインの落款を使用しているため、すぐに見分けられます。なお初代由水十久の着物は希少性がより高いため、査定額が高くなることが期待できます。
落款に関しては、着物のおくみまたは衿先にあることが一般的です。自身で落款の有無を事前に確認しておくとよいでしょう。
3:着物の買取専門店に依頼する
高く買取してもらうためにも、買取は着物の買取専門店に依頼しましょう。リサイクルショップ・古着屋などでは、着物に詳しくないスタッフが査定する可能性があります。相場よりも低い価格を提示されるかもしれません。
一方で、経験・知識が豊富な着物専門店であれば、適切な査定を行ってくれる可能性が高いです。複数の着物買取店で査定してもらい、比較することをおすすめします。
まとめ
由水十久は、唐子と呼ばれる子どもをモチーフとした柄などで知られている着物作家です。加賀友禅の伝統的技法を用いつつ独自の技術を高めたことにより、世界的に有名になりました。由水十久の作品かどうかは、独自の特徴や落款の存在などで確認可能です。
なお有名作家の作品に限らず、使用していない着物がある場合は着物買取専門店のおお蔵にぜひご連絡ください。豊富な知識を持つスタッフが査定させていただきます。LINE査定にも対応しているため、お気軽にご相談ください。
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