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幸福をあなたのそばへ運ぶ『ヴァンクリーフ&アーペル』

幸福の象徴である4つ葉のクローバー。

そのクローバーモチーフのジュエリーで有名なブランドといえばヴァンクリーフ&アーペルが真っ先に思い浮かぶであろう。

モチーフとしてはポピュラーでありデザインに取り入れられることは珍しくない。

だがアルハンブラと名付けられたヴァンクリーフ&アーペルの知名度はあまりに高い。

それはどういった経緯で生み出されたのか?またヴァンクリーフ&アーペルはどのような歴史をたどり現代に行き着いたのか?それを少し紐解いてみたい。

 

『幸福』を届ける『ヴァンクリーフアーペル』の始まり


ヴァンクリーフ&アーペルは1906年にパリのヴァンドーム広場で創業された。

ジュエリーブランドとして評価が高く、高い知名度を誇り、ティファニー、カルティエ、ブルガリ、ハリーウィンストンとともに5大ジュエラーと呼ばれるヴァンクリーフ&アーペルの創業が1900年代というのは少し意外に感じるかもしれない。だが約120年の歴史で世界最高峰のジュエラーと呼ばれる域にまで達したというのは紛れもない事実であり、今なおジュエラーとしてその世界のトップクラスに存在している実在のブランドであることに間違いはない。

 

創業者はアルフレッド・ヴァンクリーフとシャルル・アーペルである。
だがブランド名の由来は創業者の一人であるシャルル・アーペルからではなく、その妹であるエステル・アーペルから採られている。
アルフレッド・ヴァンクリーフとエステル・アーペルの二人は夫婦であり、1895年に結婚している。また、その結婚からヴァンクリーフ&アーペルが誕生したといわれている。
なお創業者のシャルル・アーペルはエステル・アーペルの兄であり、アルフレッド・ヴァンクリーフの義兄にあたる。

 

シャルル・アーペルとエステル・アーペルは宝石商の一家に生まれ育った。
そしてアルフレッド・ヴァンクリーフは宝石の加工職人の家に生まれている。
つまり二人の結婚は、新たに宝石ブランドを立ち上げるための環境が揃った瞬間だったのである。

 

メゾンを立ち上げた後、最初の依頼が舞い込む。
だがそれはヴァルナボートの模型の制作という、今のイメージからはかなり離れたものであった。
なお、このヴァルナボードの模型には執事を呼び出すためのベルボタンがついていたそうで、宝飾品ではなくオブジェに分類されるようなものだった。

 

世界観の確立、二人のアートディレクター


始まりこそジュエラーらしくないスタートではあったが、革新する勇気、宝石への情熱といった価値観を強く抱き成功の道を歩み始める。
1916年には「木に触れると幸運が訪れる」という言い伝えをもとに、樹木や貴重な素材を用いた「タッチウッド」ジュエリーを発表する。

素材の木材に加工を施し美しい木目を引き出すと同時に、金素材などと合わせる。そこに大粒の宝石を用いることにより美しさと豪華さを演出し、今までにない斬新なコレクションは人々の注目を大いに集めた。

 

1918年にはシャトレーヌウォッチが流行となった。
それに遅れることなくヴァンクリーフ&アーペルもシャトレーヌウォッチの作成をする。
幾何学模様を思わせるデザインの上に、ダイヤモンド等の宝石を用いたその作品は高い評価を受けるとともにヴァンクリーフ&アーペルの名前を広げていった。

 

この1900年代初頭は、アールヌーヴォー様式からアールデコ様式へと流行が移り変わっていく過渡期であったといわれている。

そのような変化のなかでも敏感に流行を感じ取ることのできたヴァンクリーフ&アーペルは、1925年に「アールデコ博覧会」ともいわれたパリ万国際博覧会でグランプリに選出される。この受賞によってヴァンクリーフ&アーペルの地位は確立された不動のものとなった。なおこの時に受賞した作品はローズデザインのブレスレットであったが、品質高い宝石、美しいデザイン、高い技術を要する宝石のセッティングなど、これからの躍進を確信させるには十分なものであった。

翌1926年には大きな変革が起きる。

それは才能あふれる二人のアートディレクターの就任である。

この時に就任したのは創業者ヴァンクリーフ夫妻の娘であるルネ・ピュイサンであり、デザイナーのルネ・シム・ラカズと共同でアーティステック デザイナーに就任した。
今でも名前を知られた存在である二人は、一目でヴァンクリーフ&アーペルとわかるブランド独自のスタイルを確立させていくことになる。
それは花などの自然と生命の美しさを高い品質と確かな技術力で表現するものが多く、今日のブランドイメージや展開している作品たちに通じるものの根底となりうるものであった。

またその確かな技術力は年々評価を高めると同時に精度を増していく。

1933年には、宝石業界の偉業ともいわれるミステリーセッティングの特許を取得する。
このミステリーセッティングとは、表側からは宝石を留める土台や爪を全く見せることなく宝石を留める技術のことである。
従来の方法では宝石を留める金属がどうしても見えてしまった。そのため宝飾品は宝飾品の領域を一歩飛び出すことが出来なかったのである。だがこの技法を用いることで、まるで絵画や陶器などのように自在な表現が出来るようになった。これは宝飾品と他の芸術品の垣根を取り払う発明であり、まさに偉業と呼ぶにふさわしい技術であった。

 

ブランドアイコン『アルハンブラ』誕生


名声を広めていったヴァンクリーフ&アーペルのもとには多くの王侯貴族からオーダーが入るようになっていく。その中にはイギリスの国王であったエドワード8世や、エジプトのファウジア王女らの名前もあった。

こうしてその地位をますます高めていったヴァンクリーフ&アーペルは1939年に米国に進出を果たす。そして1940年にはニューヨーク五番街744番地に米国初のブティックをオープンさせたのだった。

尚この頃には、現代でも見かけるデザインを作り始めている。

ラブバードのシリーズなどはこの時代に生まれた作品である。

 

1950年代に入ると、さらに多くの王侯貴族を顧客として抱えるようになりジュエラーとしての実績と地位をますます高めていった。

この当時からモナコ公国の皇室御用達にもなっている。そのきっかけとなったのはモナコ公国皇太子レーニエ3世がグレース・ケリーとの結婚式で、ヴァンクリーフ&アーペル製のパールとダイヤモンドのジュエリーを贈ったことといわれている。

 

1967年にはニューヨーク シティ バレエの共同創設者であり著名な振付家のジョージ・バランシンとの出会いがブランドの世界観を大きく広げることになる。
この出会いにより誕生したバレリーナシリーズは、宝石でありながら躍動感さえ感じられる、あまりに高い表現力から多くの人を驚かせるとともに高い評価を得ることになった。

一見、このバレリーナシリーズは自然や命といったブランドの世界観から異質な存在に見える。

だが、人間を主役に置いた命の表現と力強さと考えれば決してそぐわない表現ではないという事がわかる。今日ではロミオとジュリエットのような物語を作品で表現することもあるヴァンクリーフ&アーペル。この当時から人間を主役にした作品も一定数が作られるようになった。それは人間を生命ととらえ、その動きに美しさを見出したからなのではないかと思う。

 

1968年にはブランドの象徴ともいえるモチーフ『アルハンブラ』が誕生する。

幸運の象徴である四葉のクローバーをモチーフにした、ブランドを代表するコレクションである。

なおアルハンブラとはスペインの美しき城塞であるアルハンブラ宮殿のことであり、その壁画に装飾された4つ葉のクローバーに似た模様から名前が採用されている。

この年に初めてアルハンブラのロングネックレスが登場した。

以降、このシリーズはヴァンクリーフ&アーペルのアイコンとして現在に至るまでその存在感を放ち続けることになる。

 

1970年代には様々な流行や文化を独自の世界観に取り入れることにより、その世界観に繊細さや美しさだけでなく力強さや大胆さが組み込まれていくようになる。

この頃に造られたコレクションとしてローズ・ド・ノエルがある。

今でもヴァンクリーフ&アーペルのコレクションとして多くの人に認識されているローズ・ド・ノエルであるが、特筆すべきはコーラルとゴールドやダイヤモンドが出会ったことである。
この頃からヴァンクリーフ&アーペルはコーラルやウッド、マザーオブパールなどのオーナメンタルストーンを用いるようになる。それは宝石の希少価値よりもブランドの世界観や表現力を優先させた結果であり、ヴァンクリーフ&アーペルというブランドを唯一無二の存在にするための挑戦でもあった。

考えてもみてほしい。通常はジュエラーがあまり採用しないコーラルやピンクオパール、タイガーアイやオニキス、カルセドニーやラピスラズリなどの石をヴァンクリーフ&アーペルは採用している。石の価値や希少性でいえば極めて低い宝石である。それこそパワーストーンに分類されるようなものもある。だがそれを用いた新作を発表した際に、ブランドとしての品位や地位が落ちたという評価をする者がいるだろうか?おそらくそういった声はほとんど起きないであろう。ヴァンクリーフ&アーペルというブランドはそういったものを用いるが、変わらずトップジュエラーだという事を世界中の人々が認識しているからである。自然や生命といった美しさを、素材の希少価値にとらわれず最も適した方法で表現するジュエラー・・・。それこそがヴァンクリーフ&アーペルなのである。

もちろんジュエラーとしてオーダーメイドやハイランクジュエリーの制作にも意欲的に取り組み続けている。

2000年代に入ると立て続けにハイジュエリーコレクションを発表している。

2006年には、創業100周年を記念して1920年代から60年代の期間に描かれたスケッチに基づき、これまで世に現れていなかった11作品を制作発表するなどの試みもしている。
技術の追求ももちろん更新を続けている。1990年には6角形のミステリーセッティングとダイヤモンドを用いたミステリーセッティングの特許を追加している。

 


 

世界のトップジュエラーはいくつも存在する。
メジャーなブランドもあれば、他と一線を画す品質を誇るが知名度を有さないものもあるだろう。

もちろん筆者もそのすべてを知るわけではない。だがその中で、生命・自然といったコンセプトここまで明確にし、それを表現する技術と表現力を有し、品質高く、作品から命の温かさと美しさを感じさせるブランドはヴァンクリーフ&アーペル以外に存在しないだろう。

大げさではなく、生命と美の表現者であるブランド。

それこそがヴァンクリーフ&アーペルというブランドなのである。

 

 

(編集:山﨑)

投稿者プロフィール

OKURA販促企画課
2019年にゲオグループ入りした株式会社おお蔵ホールディングスの子会社で、首都圏を中心にブランド品、時計、ジュエリー、貴金属のリユース買取、販売を行っています。
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