世の中には多くのブランドが存在し、それぞれのブランドにはテーマやイメージが存在する。一目でそのブランドと分かるシンボル的なモチーフが存在することがほとんどであり、それを前面に押し出すことにより知名度の向上にも繋がっている。
有名なものはカルティエのLOVEシリーズやブルガリのビーゼロワンシリーズ、ティファニーのTシリーズやVCAのアルハンブラシリーズなどである。
その中でひときわ異彩を放つものがある。2枚のガラスの間で光り輝きながら舞い踊るかのように動く宝石たち。宝飾ブランドとしても時計ブランドとしても高い評価と人気を誇るブランド、ショパールである。
時計職人「ショパール」の転機
ショパールの創業は1860年。創業者のルイ・ユリス・ショパールによって起こされたブランドである。創業の地はスイスのジュラ山脈地方に位置するソンヴィエリという小さな村に造られた時計工房だったそうだ。農家の息子としてこの村に生まれたショパールは24歳の時に創業し、世界中から注目を集めることになる。
「時計職人」であったショパールは斬新なデザインと正確な制度を誇る「時計」を作ることでその名をはせていく・・・・・。
今となっては宝飾ブランドとしても名高いショパールだが、創業は時計ブランドとして創業したのであった。またその作る時計も宝石を多く用いたデザインのものではなく、金などを用いてはいたがシンプルで機能性と視認性の高い時計であった。
ショパールが宝飾ブランドとしての歩みを始めるのは1963年の事。創業者の孫にあたるポール・アンドレ・ショパールの時代のことである。
1943年に事業を父から受け継いだが、第二次世界大戦後という時代背景もありショパールは苦境に立たされ事業の縮小を余儀なくされていた。さらにはそんな状況を分かってかポール・アンドレ・ショパールの息子たちはその事業を受け継ぐつもりがなかった。このままでは代々続いてきた時計の技術が途絶え消えてしまう。それを危惧していたときに出会ったのがカール・ショイフレであった。
ドイツの宝飾産業で名の知れた存在であったカール・ショイフレ。彼は自身の所有していた時計・宝飾品を扱うESZEHA社をさらに発展させようとしていた。欲していたのは時計ムーブメントのサプライヤー。そのため時計の製造業者を求めてジュネーブに足を運んでいた。新聞の広告に未来のパートナーを求める内容を打ち出しても理想とするパートナーは現れず旅の最後の日を迎えていた。だがその最後の日に運命的な出会いが待っていた。
代々受け継ぎ発展させてきた時計技術を託すだけの資質と資本。金細工職人と時計職人として代々受け継がれてきた伝統。それらを有するカール・ジョイフレ。
多くの人々から高い評価を得て、確かな信頼と技術力、そして実績を有するショパール。
両者の求めるものが一致したのだった。
なお、この時カール・ジョイフレの訪問予定リストには何社もの名前が連ねられていたが、ことごとく条件が一致せず、最後の一社がショパールだったそうだ。
のちにカール・ジョイフレはこの出会いのことを振り返りこう言っている。
『出会った瞬間にうまくいく予感がした。』と。
そしてわずか30分後には契約は成立したそうだ。
それはまさに運命の出会いだったに違いない。
こうしてショパールは宝飾時計という新たなジャンルを切り開いていく糧を手にしたのだった。
ハッピーダイヤの誕生
その後、両者の融合を見事に体現したモデルが登場する。
ショパールを代表するデザイン、ハッピーダイヤの誕生である。
二枚のサファイアクリスタルの間で揺らめくダイヤモンドはそれまで誰も見たことのない斬新なアイデアとデザインであった。
今では時計・指輪・ネックレスやイヤーアクセサリーなど多岐にわたる展開をしているハッピーダイヤシリーズだが、当初は男性向けの腕時計に採用されていた。またその仕様も繊細で可愛らしい美しさを有する現在の形ではなく、豪快で派手な仕様であった。
ハッピーダイヤシリーズが大人気となるのは1979年に発表された女性用時計のハッピーダイヤモンドからである。
その当時はクォーツ式のムーブメントの世界的供給が始まりだしたころである。
パーツ数が少なく小型であったクォーツ式ムーブメントは女性用ウォッチと相性が非常に良く、多くの人々を魅了した。
だが1979年当時、宝飾時計の取り扱いは本格化しているもののジュエリーブランドとしての活動はまだ本格化していない。
それが起きたのは1985年のことである。かねてより好評を得ていたハッピーダイヤシリーズに待望のジュエリーラインが誕生するのである。もともと存在したハッピーダイヤのデザインを中心に取り込み、四肢には質の良いメレダイヤをちりばめた動きのあるジュエリー。ハッピークラウンの誕生であった。
デザインをしたのはカール・ジョイフレの娘であるキャロライン・ジョイフレ。この頃からカール・ジョイフレの息子であるカール-フリードリッヒ・ショイフレがメンズコレクションの担当として、娘のキャロライン・ジョイフレがレディースコレクションの担当として積極的に経営に携わっていくようになる。
40年で築いたトップジュエラーとしての地位
ジュエラーとして認識されることもあるショパールだが、ジュエリーラインが確立してからまだ40年の歴史を有していないのである。
ジュエリーのブランドとして比較的新しい存在として認識されているハリーウィンストンが1932年創業。同じく創業が新しいブランドとして有名なGRAFFが1960年創業である。それらに比べても格段に新しい事には驚かされる。もともと宝飾時計の製造販売をしていただけにノウハウを有しているというのはあるだろう。また宝飾品を扱っているというイメージが定着していたというのはあると思う。だがそれを差し引いてもこれだけの短期間でトップジュエラーとしての地位を築いたのは偉業以外の何物でもないだろう。
2007年にはカンヌ国際映画祭のために特別にデザインされたハイジュエリー「レッド カーペット」コレクションを発表する。
どちらかと言えばギミックやデザイン性などのイメージが先行するショパール。
たしかにショパールのイメージといえば可愛らしいイメージであった。
だがこのコレクションを展開することにより迫力とボリューム感といった豪華さも補完することになった。
2010年にもハイジュエリーラインであるアニマル・ワールドを発表する。
このラインは可愛らしさと生命の美しさを象ったハイジュエリーラインである。
こういった動きはもはや高級ジュエリーブランドそのものであろう。
世界的に有名なジュエラーは沢山ある。その中におけるショパールはジュエラーとしての歴史の浅さや、創業が時計ブランドだったことなどから〇大ブランドとか、格付けランキングなどを実施すると名前が出てこないことがある。
だが実際の知名度はどうだろうか?SNSのフォロワー数の集計をとったデータでは、ショパールはかなりの上位に入ってくる。集計の取り方によってはVCAやハリーウィンストンよりも上位になることもあるそうだ。それは世界的な評価の高さであり、ファンの多さを表しているのであろう。
斬新なデザインで人々を驚かせる発想力と革新性。高品質の中にも遊び心を忘れない大胆さを有する宝飾ブランドであると同時に、長い歴史を有する一流の時計ブランドでもある。シャネルやエルメス、ルイヴィトンやカルティエなどのような一流総合ブランドではなく時計と宝飾に特化した二刀流の超一流ブランド。ショパールとはそんなブランドではないかと思う。
世界的なイベントのジュエリー提供や有名人とのタイアップなどの際にショパールは大胆なデザインをぶつけてきたりすることがよくある。そのままの勢いで遊び心たっぷりな新作の発表も珍しくない。そんなショパールのいたずらはどんな感動を我々にもたらしてくれるだろうか?今後のショパールの動向に大きな期待をしながら、そのいたずらをワクワクしながら注視したいと思う。
(編集:山﨑)
投稿者プロフィール
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2019年にゲオグループ入りした株式会社おお蔵ホールディングスの子会社で、首都圏を中心にブランド品、時計、ジュエリー、貴金属のリユース買取、販売を行っています。
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